📊 データで読む転職 #3
このブログではふだん、キャリ子個人の体験談をベースに記事を書いている。今回はちょっと趣向を変えて、大手転職サービスの一次データを軸に、一つのテーマ——「みんな何社に応募しているのか」——をじっくり掘り下げる「まとめ記事」シリーズの第3回をお届けする。私の感想より、まずは数字を見てほしい回。
「転職って、結局何社くらい応募するものなんだろう?」
転職を考え始めたとき、いちばん最初に気になるのがこの数字ではないだろうか。
少なすぎると受からない気がするし、多すぎると準備が追いつかない。
だからこそ「平均」を知りたくなる。
ところが、いざ調べてみると数字が食い違っていて戸惑う。
ある調査は「平均31.9社」と言い、別の調査は「平均13.6社」と言う。
実は、この2倍以上の開きにはちゃんとした理由がある。
今回はそこを丁寧にほどいていく。
この記事でわかること
- 転職成功者の平均応募社数(doda:31.9社/マイナビ:13.6件)と、なぜ数字がこれほど違うのか
- 「1社の内定」までに、逆算するとどれだけの応募が必要になるのか
- 30代・男女別に見た、応募〜書類通過〜内定のリアルな実数
- 「平均」という数字を、自分の転職活動でどう受け止めればいいか
[画像1:アイキャッチをここに挿入]
まず結論:2つの「平均」はどちらも本当
先に数字を並べてしまおう。転職の平均応募社数として、信頼できる一次データが2つある。
| 調査 | 平均応募社数 | 調査の対象 | データ時期 |
|---|---|---|---|
| doda | 31.9社 | dodaエージェントを使って内定を得た人 | 2025年4月〜2026年3月 |
| マイナビ | 13.6件 | 実際に転職した20〜50代 500人 | 2024年7月〜2025年6月に活動 |
同じ「平均応募社数」という言葉なのに、片方は31.9、もう片方は13.6。
2倍以上ちがう。
どちらかが間違っているわけではなく、測っている集団と数え方が違うだけだ。
面白いのは、この違いを理解すると「自分は何社くらいがいいのか」の見当がぐっとつけやすくなること。
順番に見ていこう。

まずdodaの「平均応募社数」データから。dodaを利用して転職をかなえた人が、活動開始から内定までに応募した求人の数は平均して31.9社。
さらに内訳を見ると、94.9%の人が2社以上に応募していて、66.4%の人は11社以上に応募していた。
つまり「1社入魂」で決めた人はごく少数派で、成功者の多くはかなり積極的に数を打っていた、という実態が見えてくる。
一方のマイナビ「転職活動実態調査(2025年)」では、応募件数の平均は13.6件。
書類選考に通過した数の平均は5.1件(書類選考通過率37.3%)、面接を経て内定を獲得した数は平均2.3件で、応募件数から見た内定率は17.0%だった。
「10社以上応募して、内定が2件前後」というのが、この調査から見えるおおよその相場感になる。
なぜ「31.9社」と「13.6社」に分かれるのか
同じテーマなのに数字がここまで割れる理由は、大きく2つある。
ひとつめは、対象にしている人が違うこと。
dodaの31.9社は「エージェントサービスを使って内定を得た人」に限定した数字だ。
エージェント経由だと、担当者から求人をまとめて紹介してもらえるため、応募のハードルが下がり、自然と応募数も増えやすい。
対してマイナビの13.6件は、エージェント利用者も直接応募の人も含めた「実際に転職した人全体」の平均。
自分で1社ずつ探して応募する人が混ざるぶん、平均は下がる。
ふたつめは、数え方の前提が違うこと。
dodaは「内定に至った成功者が、活動全体で応募した求人の総数」を見ている。
マイナビは調査対象者に「応募した数(エージェント利用の場合は紹介された求人の数)」を尋ねたアンケートだ。
似ているようで、母集団も集計方法も別物——だから2つの数字は、どちらも正しいまま共存する。
ここで大事なのは、「どちらの数字が正解か」を決めることではない。
自分がどちらの集団に近いかを考えることだ。
エージェントをフル活用して数を打つスタイルなら31.9社側に、自分でじっくり選んで直接応募するスタイルなら13.6件側に近づく、と読むのが実用的だと思う。
「1社の内定」に、逆算で27社
もうひとつ、dodaのデータには面白い試算がある。
応募者の書類通過率と一次面接通過率から逆算すると、「1社以上の内定を得るには、5社の面接を受ける必要があり、そのためには27社に応募する必要がある」という計算になるのだ。

| ステップ | 必要な数(試算) |
|---|---|
| 応募(書類提出) | 27社 |
| 面接 | 5社 |
| 内定 | 1社 |
しかも、これは一次面接だけを想定したざっくりした計算だ。
実際には二次面接や最終面接が重なることが多いので、内定に必要な応募数はさらに増える。
「31.9社」という平均が、感覚的に「多すぎない?」と感じても、こうして逆算してみると案外妥当な数字だとわかる。
数を打つのは根性論ではなく、確率の問題なのだ、と考えると少し気が楽になる人もいるはずだ。
30代のリアル:応募〜内定の実数を男女別で見る
「全体平均」だけだと、自分の年代の肌感覚とズレることがある。
そこでマイナビ調査から、30代だけを男女別に抜き出してみた。

| 応募した/紹介された数 | 書類選考通過 | (通過率) | 内定を獲得 | (内定率) | |
|---|---|---|---|---|---|
| 全体 | 13.6件 | 5.1件 | 37.3% | 2.3件 | 17.0% |
| 男性30代 | 13.7件 | 5.8件 | 42.4% | 1.8件 | 13.1% |
| 女性30代 | 7.9件 | 3.7件 | 47.2% | 1.6件 | 20.8% |
ちなみに注目したいのは、男性30代と女性30代で応募数がかなり違う点だ。
男性30代は13.7件とほぼ全体平均どおりだが、女性30代は7.9件と少なめ。
ところが書類選考の通過率は女性30代のほうが高く(47.2%)、内定率にいたっては20.8%と全体平均を上回っている。
応募数が少なくても、通過率が高ければ結果につながる——という、平均だけ見ていると見落としがちな構造がここに表れている。
平均から外れるケースをどう読むか

ここで少しだけ、書き手であるキャリ子自身のケースを、平均の「読み方」を広げる材料として添えておく。
私が直近で転職したとき、応募したのはだいたい16〜30社くらいだった。
マイナビの平均(13.6件)より多く、dodaの平均(31.9社)に近いゾーンだ。
この一点だけでも、「平均」との付き合い方が見えてくる。
私はエージェントも併用して数を打つスタイルだったので、自然とdoda側の数字に寄った。
もし直接応募だけで1社ずつ丁寧に進めていたら、たぶん13.6件側に近い数字になっていたはずだ。
ただ、正直に打ち明けると、私の応募数がふくらんだのには別の理由もある。
活動を始めた当初は履歴書と職務経歴書のクオリティが低く、書類選考でよく落ちていたのだ。
数を出しても通らないから、結果として応募数だけが積み上がっていく。
転機になったのはエージェントに書類添削を数回してもらったこと。
ここから書類選考が通り始めた。
さらに国家資格のキャリアコンサルタントを取得して履歴書に記載してからは、人事職での転職ということもあってか、ほとんど書類選考に通るようになった。
この経験を、さっきのマイナビの書類選考通過率37.3%という「平均」に重ねると、見え方が変わってくる。
通過率もまた、書類の質しだいで大きく上下する変動値なのだ。
私の実感として、主観でアピールする自己PRよりも、資格のように「一般的な基準でレベルが測りやすいもの」のほうが、書類選考では効きやすいと感じた。
応募数を増やす前に書類の完成度を上げれば、同じ内定でも、より少ない応募数でたどり着けた可能性は十分にある。
つまり平均値は「みんながこの数を目指すべき」という目標ではなく、自分の進め方や書類の質によってどちら側に寄るかが変わる、集団の傾向にすぎない。
31.9社を見て「そんなに受けなきゃダメなのか」と焦る必要はないし、13.6社を見て「そんなに少なくていいんだ」と油断する必要もない。
点検すべきは「他人の平均」ではなく、「自分のスタイルに合った応募数か」、そして「その前提となる書類の質が十分か」だ。
よくある質問
Q. 転職では何社くらい応募するのが目安ですか?
A. 調査によって幅がある。dodaの内定者データでは平均31.9社、マイナビの転職者調査では平均13.6件。
確率から逆算すると「1社の内定に27社の応募」という試算もあるため、エージェントを使って数を打つなら20〜30社、直接応募中心なら10社前後が一つの目安になる。
Q. なぜ調査によって平均応募社数がこんなに違うのですか?
A. 対象にしている人(エージェント利用の内定者か、転職者全体か)と、数え方の前提が違うため。
どちらかが間違っているのではなく、測っている集団が別物だと理解するのが正しい。
Q. 応募数が少ないと不利になりますか?
A. 一概には言えない。マイナビの30代女性は応募7.9件と少なめだが、書類通過率・内定率はむしろ高かった。
応募数そのものより、応募先と自分の経歴のマッチ度や書類の質が結果を左右する面が大きい。
Q. 1社ずつ応募するのはよくないですか?
A. 両調査とも、複数社への同時応募をすすめている。
1社ずつだと、落ちるたびに振り出しに戻り、活動が長期化しやすいためだ。
ただし手当たり次第は書類・面接準備が薄くなるので、同時に3〜5社程度が現実的とされている。
まとめ
転職の平均応募社数は、doda(内定者)で31.9社、マイナビ(転職者全体)で13.6件。
2倍以上の差は、測っている集団と数え方の違いによるもので、どちらも本当の数字だ。
大切なのは平均に振り回されることではなく、自分がエージェント型か直接応募型かを見極めて、見合った応募数の目安を持つこと。
ただし、これらのデータは「何社受ければ受かるか」までは教えてくれない。
応募数はあくまで確率の入り口で、実際の合否は書類や面接の中身、そして応募先とのマッチ度で決まる。
数字は目安として使いつつ、一社一社の質を落とさないバランスを大事にしてほしい。
なお、応募を始める前段階の「そもそも何を軸に転職先を選ぶか」で迷っている人は、シリーズ第1回の転職活動の期間データや、30代の年収変化データもあわせて読むと、活動全体の見通しが立てやすくなるはずだ。
出典・データ一覧
- doda「『何社受ける?』転職成功者の平均応募社数、書類や面接の通過率は?」(パーソルキャリア、2026年5月25日公開/データ時期:2025年4月〜2026年3月)
- マイナビ「転職活動の平均応募社数は?書類選考・面接通過率、内定率はどれくらい?」(株式会社マイナビ、2026年1月9日更新)
- マイナビ「転職活動実態調査(2025年)」(PDF)(調査対象:2024年7月〜2025年6月に転職した20〜50代の正社員500人)
データで読む転職|シリーズ記事
「データで読む転職」シリーズでは、一次データから転職のリアルを読み解いている。あわせて30代の転職、年収アップは46%・ダウンは24%という現実と転職活動の期間、平均「3ヶ月未満〜半年未満」が過半数という現実も読むと、応募社数だけでなく転職活動の全体像が見えてくるはずだ。


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