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30代の転職、年収アップは46%・ダウンは24%という現実

データで読む転職
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📊 データで読む転職 #2
このブログではふだん、キャリ子個人の体験談をベースに記事を書いている。今回はちょっと趣向を変えて、公的な一次データを軸に「一つのテーマ」をじっくり掘り下げる「まとめ記事」シリーズの第2回をお届けする。テーマは、30代の多くが気にする「転職で年収は上がるのか、下がるのか」。私の感想より、まずは数字を見てほしい回だ。

「転職したら年収って、結局上がるの?下がるの?」

——30代でキャリアを考えはじめると、たいていの人がこの問いにぶつかる。
ネットには「年収アップした!」という景気のいい声もあれば、「下がった…」という後悔の声もあって、どっちが本当なのか分からなくなる。

そこで今回は、印象論をいったん脇に置いて、国が毎年とっている大規模調査の数字を見てみたい。

結論からいうと、30代の転職では「上がった人」が「下がった人」を明確に上回っている

ただし、その数字の裏には注意して読むべき「中身」もある。順番に見ていこう。

この記事でわかること

  • 30代の転職で「年収が上がった人/下がった人」の割合(厚生労働省の最新データ)
  • 「増加」がいま10年ぶりの高水準になっている、という時代の追い風
  • 転職エージェント経由に絞ると年収の「水準」はどう動いているか(doda調査)
  • 平均値だけでは見えない「手当を含めたトータルで見る」という視点

30代は「上がった人」が「下がった人」の約2倍

まず中心となる数字から。厚生労働省の「令和6年 雇用動向調査」は、実際に転職して新しい職場に入った人(転職入職者)に対して、前の職場と比べて賃金がどう変わったかを毎年調べている。2024年(令和6年)の結果を年齢別に取り出すと、30代はこうなっている。

年齢増加した変わらない減少した
25〜29歳46.3%23.1%29.2%
30〜34歳46.1%29.1%24.2%
35〜39歳45.5%28.0%24.3%

30代前半(30〜34歳)では、転職で賃金が増加した人が46.1%、減少した人が24.2%。

後半(35〜39歳)でも増加45.5%、減少24.3%と、ほぼ同じ傾向だ。

つまり、上がった人はおよそ2人に1人、下がった人はおよそ4人に1人
「上がった人」が「下がった人」を約2倍上回っている計算になる。

面白いのは、30代前半では「1割以上の増加」が36.0%に達している点だ(減少側の「1割以上」は16.3%)。

ただ上がるだけでなく、しっかり上がっている人が一定数いる、ということでもある。

年齢階級別・転職による賃金変動の内訳。30〜34歳は増加46.1%・変わらない29.1%・減少24.2%

数字がぎゅっと詰まってきたので、ここで一度整理しておきたい。
30代の転職は「上がる人が多数派、下がる人は少数派」。これが出発点の事実だ。

出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査」結果の概要(2025年8月公表)

なぜいま「増加」が10年ぶりの高水準なのか

もう一つ、今回のデータで見逃せないのが「時代の追い風」だ。

年齢を問わない全体の数字で見ると、転職で賃金が「増加」した人の割合は40.5%まで上がっている。
これは調査を追える範囲で過去10年で最も高い水準だ。

逆に「減少」した人は29.4%まで下がり、こちらは10年で最も低い。

ちなみに、ほんの数年前まで「増加」と「減少」はほぼ拮抗していた。
それが2023年あたりから急に差が開きはじめた、というのがこのグラフの読みどころだ。

転職入職者で賃金が増加した人の割合の推移。2024年は40.5%と過去10年で最高、減少は29.4%

なぜこうなっているのか。

調査の背景を踏まえて整理すると、大きな要因は人手不足による売り手市場だ。

企業が中途採用で人を確保しづらくなり、提示する賃金を引き上げる動きが広がっている。
厚労省の同じ調査でも、前の職場を辞めた理由として「給料等収入が少なかった」が上位に入っており、より良い条件を求めて動いた人が、実際に条件を改善できている構図がうかがえる。

念のため補足しておくと、これは「誰でも転職すれば上がる」という意味ではない。

あくまで転職した人の集団を平均的に見ると、増えた人のほうが多いという話だ。
ここを取り違えないようにしたい。

出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査」結果の概要(2025年8月公表)

世代で見ると、30代は「勝ちやすい」ポジション

同じデータを「増えた人の割合 − 減った人の割合」の差(プラスなら増加が多い)で世代ごとに並べると、もう一つの事実が見えてくる。

年齢階級別「増加した人−減少した人」の差。30代は+21.9・+21.2ポイント、55歳以降はマイナス

30代(+21.9、+21.2ポイント)は、しっかりプラス圏にいる。

一方で55〜59歳はマイナス9.2ポイント、60〜64歳ではマイナス47.3ポイントと、年齢が上がるほど「下がった人」が多数派に転じていく。
20代が最も勢いがあるのは想像どおりだが、30代もまだ十分に「上がる側」の世代だということが分かる。

この点は、30代で転職を迷っている人にとっては一つの安心材料になるはずだ。

出典:厚生労働省「令和6年 雇用動向調査」結果の概要(2025年8月公表)

別の調査で見る、30代の「年収の水準」

ここまでは「上がった/下がった」という増減の割合の話だった。

もう一つ、角度の違うデータも紹介しておきたい。
転職サービスのdoda(パーソルキャリア)が出している「年代別 転職時の年収変動レポート」だ。

ただし、この2つは測っているものが違うので、そこは明確にしておきたい。

厚労省のデータは「転職した人全体のうち、賃金が増えた人・減った人の割合」。

一方dodaのデータは「dodaのエージェント経由で転職を決めた人の、決定年収の“水準”がコロナ前(2019年度)からどう動いたか」を見ている。
対象も、公的調査(全産業)とエージェント利用者では違う。だから単純比較はできない。
それでも、傾向を重ねて見る価値はある。

dodaのレポートによると、30代は転職前後の年収変動がコロナ前のマイナスから2025年度上期は微増に転じ、平均決定年収額は2019年度比で約9%増加

決定年収が600万円以上の人の割合合計も、19年度比で11ポイント増えて22%になったという。

金融・IT・通信・コンサルに加えて物流業界でも高めのポジションの採用が増えたことが背景にあるとされる。

増減の割合で見ても(厚労省)、年収の水準で見ても(doda)、30代の転職を取り巻く環境は数年前より改善している——別々の調査が、同じ方向を指しているわけだ。

出典:パーソルキャリア(doda)「2025年度上期版 年代別 転職時の年収変動レポート」(2025年10月16日)

平均から外れるケースをどう読むか

ここで、私自身の話を少しだけ「データの読み方を補強する材料」として置いておきたい。

感想を語りたいわけではなく、「平均の数字をどう受け止めるべきか」の一例として、だ。

私の直近の転職は、上の表でいえば「変わらない」に近いケースだった。

前職は基本給そのものはかなり低かったのだが、住宅手当が家賃の9割ほど出ていて、生活の体感としてはかなり楽だった。
転職後は住宅手当がなくなり、その代わり額面が上がって、手当込みのトータル年収でいうと前職より数万円プラス、という程度に落ち着いた。

これは何を示しているか。

「増えた/減った」という二択の分類は、手当の構成の変化まではとらえてくれない、ということだ。

基本給だけを比べれば私は「大幅アップ」に見えるし、生活実感で比べればほとんど「変わらない」。
逆に、額面が増えたのに住宅手当や通勤手当が消えて、暮らしはむしろ苦しくなる、という人もいるはずだ。

だから、今回の46%という数字はあくまで出発点として受け止めたい。

転職で年収が上がる人が多数派なのは事実。

ただ、自分の転職を評価するときは、額面の増減だけでなく、住宅手当・残業代・賞与まで含めた「トータルの手取り実感」で見る——平均値をそのまま自分に当てはめる前に、そこを点検材料にしてほしい。

よくある質問

Q. 30代で転職すると、年収は上がるほうが多いのですか?
はい。厚生労働省「令和6年 雇用動向調査」では、30代前半で賃金が増加した人が46.1%、減少した人が24.2%と、増加した人が減少した人を約2倍上回っています。ただし全員が上がるわけではなく、あくまで集団としての傾向です。

Q. 転職して年収が下がる人はどのくらいいますか?
30代では約24%、つまりおよそ4人に1人が「減少」と回答しています。働き方や条件を優先して、あえて年収を下げる選択をする人も含まれます。

Q. なぜ最近は「年収が上がった」という人が増えているのですか?
人手不足による売り手市場が背景にあります。転職で賃金が「増加」した人の割合は2024年に40.5%と過去10年で最も高くなり、企業が採用のために提示年収を引き上げる動きが広がっています。

Q. 40代・50代でも同じように上がりますか?
30代まではプラス(増加が多数派)ですが、55〜59歳以降は「減少」した人のほうが多くなります。年齢が上がるほど、年収を維持・向上させる難易度は上がる傾向があります。

まとめ

30代の転職は、データで見るかぎり「年収が上がる人が多数派、下がる人は少数派」。
しかもいまは「増加」した人の割合が10年ぶりの高水準という追い風もある。

転職=年収ダウンという漠然とした不安は、少なくとも30代に関しては数字に裏打ちされたものではない。

ただし、平均はあくまで集団の傾向であって、あなた個人の結果を保証するものではない。

そして「増えた/減った」という分類は、手当を含めた暮らしの実感までは教えてくれない。

数字で全体の地図を持ちつつ、自分の条件はトータルで点検する——この2つをセットにしておくのが、いちばん誠実な向き合い方だと思う。

エージェントをどう選び、どう使えば条件面の交渉まで踏み込めるかについては、転職エージェント、任せたら後悔する——採用担当だった私が伝える選び方と使い方でまとめているので、あわせて読んでみてほしい。


出典・データ一覧

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