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内定を決められない30代へ——勢いで返事をすると、危ない

自己分析
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内定の通知メールを開いたとき、私は「やった」より先に「どうしよう」と思った。

正直、うれしさより不安のほうが大きかった。

本当にここでいいのか。
もっと合う会社が、まだどこかにあるんじゃないか。
決めなきゃいけないのに、決められない。

あの数日間の、宙ぶらりんな感じは今でも覚えている。

30代の転職で「内定が出たのに決められない」というのは、実はかなり多い。

喜ばしいはずのことで、なぜこんなに苦しくなるのか。

今日はそこを、一度採用する側にいた立場から書いてみたい。

「決められない」のは、優柔不断だからじゃない

内定を前に固まってしまう自分を、私は「優柔不断だな」と責めていた。

でも、今振り返ると、それはちょっと違う。

30代の転職は、20代のときとは重みが違う。
給料、家庭、これまで積み上げてきたもの。
守るものが増えている分、一つの決断が背負うものも増えている。
慎重になるのは、むしろ自然な反応だと思う。

それに、決められない理由の一つは、たぶん「比べるものがない」ことだ。

在職中に転職活動をしていると、時間がない。何社も並行して受けられる人ばかりじゃない。

私もそうだった。
気づけば手元にあるのは一つの内定だけ。

比較対象がないと、他社と比べづらく、絶対評価で判断する場面が増える。
「これがいいのか悪いのか」を、たった一つの情報で決めようとする。

それは、しんどい。

採用担当として見てきた、「迷う人」の景色

人事として採用側にいたころ、内定を出したあとに迷う人、返事を保留する人を何人も見てきた。

正直に言うと、迷われるのはこちらとしても落ち着かない。

でも同時に、「迷って当然だよな」とも思っていた。

だって、こちらは会社の中身を全部見せているわけじゃない。
面接という限られた時間で、お互いにいいところを見せ合っているだけだ。
応募する側が中身をすべて把握できないまま決断を迫られるのは、構造的にそうなっている。

ここで一つ、伝えておきたいことがある。

採用側は、即答してくれる人だけを評価しているわけではない。

むしろ、しっかり考えたうえで質問を返してくる人のほうが、入社後に長く続く印象があった。

「配属はどうなりますか」
「評価はどう決まりますか」
と聞いてくる人は、迷っているというより、ちゃんと自分の中で確かめようとしている。
その慎重さは、こちら側から見ると誠実さに映る。

だから、迷っていることそのものを恥じる必要はない。

問題は、迷いを「放置する」ことのほうだ。

迷いは強みにもなるし、落とし穴にもなる

迷えるということは、判断材料を集めようとしているということ。
これは慎重さという強みだ。

ただ、その強みには落とし穴がある。

判断の「軸」がないまま迷い続けると、迷いは不安に変わり、最後は「もう疲れたから」という理由で決めてしまう。

あるいは、回答期限にギリギリまで粘って、勢いで返事をしてしまう。

勢いで決めた選択は、入社後に何かあったとき「あのとき、ちゃんと考えなかったからだ」という後悔になりやすい。

迷いを強みに変えるには、「なんとなく比べる」のをやめて、「何を基準に比べるか」を先に決めることだ。
軸がある迷いは前に進む。
軸のない迷いは、ぐるぐる回るだけだ。

明日からできる、迷いの整理のしかた

決められないときに私がやっておけばよかったと思うことを、具体的に3つ書いておく。

① 「これだけは譲れない」を、紙に一つだけ書く

条件を全部並べて点数をつけようとすると、かえって決められなくなる。

まず、一つだけでいい。給料なのか、通勤時間なのか、仕事の中身なのか。自分が絶対に外したくないものを一つ言葉にする。
軸が一本立つだけで、迷いの半分は輪郭がはっきりする。

② 減点法ではなく、「これがあれば十分」で見る

「あれもない、これもない」と引き算で見ると、どんな会社も物足りなく見える。
完璧な会社は存在しない。
①で決めた軸が満たされているなら、あとは加点で見ていく。
そのほうが、決断に踏み出しやすい。

③ 比較材料がないなら、外から一つ足す

比べるものがないから決められないのなら、比べる材料を一つ増やせばいい。
同じ会社を実際に受けた人の選考体験談や、社員の口コミを読むだけでも、頭の中の「一社しかない」状態が少しほぐれる。

※広告 選考体験談や社員の口コミ、年収データをまとめて見られるワンキャリアは、比較材料を増やしたいときに使ってみるのも一つの手だと思う。「自分が受けた会社だけで判断している」状態から抜け出す材料になる。

それでも軸が定まらないときは、いきなり誰かに相談するより、ハローワークの無料キャリアコンサルティングで頭を整理してからでも遅くない。
お金をかけずに、第三者と一度話すだけで見えてくるものもある。

自分の軸そのものがぼんやりしている人は、「やりたいことがない」まま転職して後悔しない人の選び方も合わせて読んでみてほしい。

完璧に決めきってから動く必要はない

内定を前に迷うのは、あなたが優柔不断だからじゃない。

守るものがあって、比べる材料が足りないだけだ。

だから、まずは一つだけやってみる。

「これだけは譲れない」を、紙に一行書く。

それだけで、宙ぶらりんだった迷いが、少しだけ地に足のついた検討に変わる。

全部をきれいに整理してから動く必要はない。

軸を一本立てて、そのうえで迷う。

その迷いは、きっと後悔の少ない決断につながっていく。

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